9月下旬から10月上旬にかけて、米国で次々と気候変動に関するハイレベル会議が開催されました。スターンレビュー、IPCCとアル・ゴア前米副大統領へのノーベル平和賞受賞に続き、気候変動に関する取組の加速を求める圧力が一段と強まっています。カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(DCP)においても、その影響力が着実な強まりをみせています。英国企業もまた、CDPと共同でサプライチェーンを含めたCO2排出量把握のための新メカニズムを開発するべく動き始めました。
2007年9月24日、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(DCP)が5回目となる報告書、『世界企業における気候変動のための報告書(Global Corporate Climate Change Report)』を発表しました。同日、国連サミットが開催され、80名以上の世界的リーダーが集まり、気候変動を最小限に留めるための方策が議論されました。さらにその1週間後、ブッシュ米大統領が気候変動に関する私的懇談会を開催しています。
CDPの目的は、十分な企業情報をもとにした気候変動対策への取組を実現させるため、投資家が活用可能な情報の提供や、企業や個人、投資家の意識向上を目指すことにあります。CDPを支援する投資家は年々着実に増加しており、現在は、全体で総資産41兆米ドルを運用する世界的機関投資家315名(団体)が参加しています。なかにはカルパースやメリルリンチ、ゴールドマンサックスなど、巨大機関投資団体も参加しています。今年は、昨年比で90名の新規加盟者(団体)(約10兆米ドル)を集めています。
毎年発行される『世界企業における気候変動のための報告書(Global Corporate Climate Change Report)』は、世界的大企業を対象に二酸化炭素(CO2)の排出状況に関する情報開示や気候変動への対応を調査したものです。報告書は、全産業を対象としているため、情報を活用する投資家は特に産業により気候変動リスク回避のための取組方法や開示状況が異なることに留意が必要となります。例えば、食品、飲料、タバコ産業が直面すると想定される気候変動リスクは「気候」であり、銀行や金融関連産業はCO2排出量が少ない再生可能エネルギーへの投資を増やすことであり、ガス・石油産業は天然ガスの生産工程におけるCO2排出量削減という具合です。
CDPの企業への働きかけの成果は、アンケート回収率である程度知ることができます。FT500企業に限定してみると、2004年には59%、2005年には71%、2006年には75%、2007年には77%と着実に増加しています。一方、投資家への働きかけについては、同報告書自体は既に投資家にとって重要なツールキットになっていますが、未だ投資家の意識と行動には大きなギャップがあると報告されています。CDPは、現状打開のため、特に政府からの呼びかけを期待しています。
CDPは、報告書の作成以外にも、英国の巨大グローバル企業と共同でサプライチェーン・パートナーに対してCO2排出量の測定と管理への取組を推進し始めました。テスコ、ユニリーバ、P&G、ネスレ、キャドバリー・シュウェッブスなどが参加する「サプライチェーン・リーダーシップ・コラボレーション(Supply Chain Leadership Collaboration)」は、CDPと共同でサプライチェーン全体を通じた排出量(カーボン・フットプリント)を測定するための標準化したメカニズムを構築させることを目的とし、サプライチェーン全体での排出量削減を目指します。企業の環境取組と投資家評価を繋げるCDPの取組は今後も一層重要さを増しそうです。
Companies, Carbon and Climate Change: The Carbon Dislosure Project Issues its 5th Global Corporate Climate Change report
September 24, 2007
SocialFunds.com
Giant U.K. Companies Want Supply Chain Emissions Data
LONDON
Oct. 10, 2007
GreenBiz.com
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[関 智恵]