過去10年間のプレスリリースを対象に行われたある調査により、「温暖化ガス排出量削減への取組に関する情報開示を自主的に行っている企業の株価は増加する傾向にある」ということがわかりました。
同調査をまとめた著者の一人カリフォルニア大学デービス校のポール・グリフィン教授は、株価と情報開示の関連性について、これは「透明性の問題」であるとしています。
『Going Green: Market Reaction to CSR Newswire Releases』と題された同調査は、2000年から2010年の間にCSR情報サイト『CSR Wire』を通じて発表された、米国企業84社の172プレスリリースを対象に実施されたもので、ITから公共事業、ヘルスケアまで幅広い企業が対象となっています。調査の結果、2010年までの過去10年間で、CSR関連のプレスリリースに連動して増加した時価総額は100億米ドル(約7,700億円)にのぼっていたことがわかりました。
さらに、開示情報が少ない企業において、その変化がより顕著に現れていることもわかりました。規模の小さい企業では2.32ポイントの株価上昇もみられ、これは一部には中小企業は証券アナリストからの注目度が比較的低いため(結果的に情報量が少ないために株価の値上りも顕著だったの)だろう、と著者は語っています。
また、(現在、グローバルで活発な)温暖化ガス排出量の自主的取組には、カーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)がありますが、プレスリリースで紹介される情報は、CDPで扱われる情報と異なるという点も指摘されています。つまり、CDPでは9ヶ月かそれ以上古い情報を開示しているのに対し、プレスリリースでは最新の情報が掲載されているという点です。
(興味深いことに)通常、CSRもしくは温暖化ガス等の情報の開示を求める株主やアクティビストは企業に対し、CDPやCSR報告書での開示を求めており、プレスリリースを通じた情報開示は推進されてきませんでした。例えば、有名な投資家団体CSEC(Corporate Sustainability Reporting Coalition)は、国連加盟団体に対し、アニュアルレポートにてサステナビリティ情報を掲載することを求めています(詳しくはこちら)。
また、別の記事では、本調査はあくまで「自主的」な情報開示を行う企業が対象であり、開示が義務付けられている(証券取引所で上場する)企業の株価も同様の動きを見せるか、については本調査で裏づけすることはできなかった、と同著者は語っていると伝えています。
Companies Get a Boost in Stock from Reporting Greenhouse Gas Info
February 06, 2012
GreenBiz.com
Carbon Disclosure Raises Stock Prices, Study Finds
February 7, 2012
Environmental Leader
● 調査結果をまとめた報告書はこちらからご覧になれます(PDF)
『Going Green: Market Reaction to CSR Newswire Releases』
● カーボンディスクロージャープロジェクト(CDP)のホームページ
[関 智恵]