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日本のテレビ番組が「この調子」な理由は「偏差値45理論」でわかる

 芸能人の不倫、企業の不祥事……テレビを見ると「もっと報道すべきことがあるのではないか?」「くだらない」と感じる方も多いだろう。
 だが残念なことに、これがテレビの「最適解」なのだ。

 テレビ局の収入は「視聴率」で決まる。企業は広告を出稿する時、広告代理店を経由し「視聴率何%分のCMを出してください」という形で契約する場合が多い。テレビ局が、仮に視聴率を100%分売ったとしよう。ある番組の視聴率が20%なら5回CMを流せば仕事は終わり。一方、視聴率が5%なら20回、1%なら100回もCMを流さなければならない。放送局がCMを流してよい回数は法で決められているから、視聴率1%ではいつまでたっても次の契約を取ることができない。
 視聴率1%の番組を作るのが「時給1000円のバイト」だとしたら、視聴率20%なら「時給2万円のバイト」になる。誰でも後者で働きたいだろう。

 では、視聴率をとるために何ができるのか? その結果が今のテレビ番組なのだ。
 まず、みんなで観られる番組をつくることが大切だ。例えば今は亡き年末のダウンタウンの番組には、旬の人気アイドルだけでなく年配の大御所も出てきて一緒にバカをやっていた。あれは「若者から高年齢層まで楽しめるように」、そうなっている。ゴールデンタイムは「食、海外、動物」といったみんなが好きな話題で番組を作る。これも、老若男女問わず、皆で観られるからだ。

 次に「数字を持っているタレント」を起用する。例えば亡くなった志村けんさんは『志村けんのだいじょうぶだぁ』、『志村けんのバカ殿様』、『志村友達』、『志村でナイト』、『志村軒』、『志村X』などなど、挙げればきりがないほど「志村」と名の付く番組を持っていた。イコール、彼は「数字を持っていた」のだ。
(余談だが、そんな「好き放題できる立場」なのに、故・志村氏にはパワハラのうわさやスキャンダルはなかった。筆者も一度、30分ほど話したことがあるが、私の様な裏方にも朗らかな方だった。心から冥福を祈りたい)

 そして最後に、頭脳より感情に訴える番組を作ることだ。この業界には「偏差値45に合わせろ」という言葉がある。言うまでもなく、日本人の多くが偏差値45~55くらいに位置していて、このあたりが楽しく見られる番組、腹を立ててくれる番組、スカッとする番組をつくれば視聴率は取れる、というわけだ。

 どうだろう、視聴率をとる方法を見ていくと、見事に今のような番組になるではないか。

 ここで、結論が見えてくる。「テレビ番組がくだらない」のではない。残念ながら、我々を含め、日本人の多くが望んでいるのがこれら「くだらない番組」なのだ。
 なお、対抗策もないではない。書籍は「金を払ってでもほしい情報」を掲載している。すなわち、選べば、「テレビなどくだらない」と感じる方のための一冊も見つかるはずだ。昔よく言った「テレビばっかり見てるとバカになるよ。本を読みなさい!」は今も色あせぬ名文句なのだ。